2020年12月31日木曜日

 岡本陸郎美術館ニュースレター  新年2021年に向けての号

多くの問題の有った2020年も新たな年2021年を迎えようとしています。2020年はコロナの危機とともに愚劣なポピュリズムの引き起こす危機が民主主義世界の大きな問題であることを明白にした年でした。

小学校低学年の低脳の破廉恥なポピュリズムに進んでこうべを垂れて、あたかもナチスファシストや中世の独裁専制に期待する遅れた人々が確かにアメリカには半数近くが今もいます。アメリカの民主主義は世界に独自の生誕を244年前にしたにもかかわらず、常によろめきながらも終わりのない完成への道を歩んで行きます。人はみな異なる出生をしている事実を握りつぶそうとする意識が一方には存在しています。一党独裁の支配者による一見一枚岩の頑強な組織は実は異なる意見の殲滅や粛清による権力闘争によって維持されています。人間には全てが平等という民主主義にしか未来はなく、それ以外は恐怖、強権政治による隷属の社会しかありません。2020年はこの事実を明らかにした年でした。

しかし、これに比べ自然はもっとずっと大きなものです。人間のこれらの問題も46億年の自然界から見れば大自然のごく一部の小さな問題にしかすぎません。

しかしまた人間の作り上げて来た人工物は今や物理的に地球上の全生物の重量と同じだけの重量を作ってしまっています。このまま行けば地球上は単色のモノクロームの人工物によって覆われてしまいます。総天然色の大自然もこの小さな地球では限界があり、この100年ほどの間にどんどん人工物によって侵食され、ついには覆い尽くされてしまう日も近いのです。プラッスチックやコンクリートもその一部です。その際限もない膨張を止めなければならないというのは実に人間にとって急務です。あまりになんの制限もない経済的なプラス成長ばかりを目指している人間社会は限界を知らねばならない日に直面しています。

私はあくまで社会活動家ではなく、芸術家として芸術作品を制作する日々を半世紀以上に渡って静かに生きています。自然界の一部として生きることしか芸術家の生きる道はありません。大自然を構成する生物界、風景、人間について常に考えながら日々を制作しています。美術館で続けている「野の花遊歩道」や「ふるさと」の連作や、またニューヨークで続けている「Dancing New Yorkers」の連作もその一つです。人間界のはかない時代による変転に動かされることなく、今日も助手の犬のムク、公園のリス、スズメ達と芸術家として生きることをニューヨークに集中して続けています。このペースであと300年ほど生きることができれば生涯の目標も達成できるかと考えています。

美術館は今年はコロナ危機を絶対に広げないという強い意思で、休館を続けています。ワクチンの一般人への普及も進んでいます。来年2021年には2006年の開館以来15年目の美術館の開館をして行くことを予定しています。

皆さまも、どうかコロナの危機をしのいで、良い新年をお迎えになりますよう、心よりお祈りしております。

最新のニューヨークでの2、4メートルx90センチの連作「Dancing New Yorkers」は www.rikurookamoto.com のサイトを開いて「Dancing New Yorkers」のページに進むと写真を見ることができます。

この美術館ニュースレターは個人情報守秘のためにBccでメールで発送をしています。ご連絡などがおありの場合はメールアドレス、 rikurookamoto39@gmail.comへメールをお願いいたします。