岡本陸郎美術館ニュースレター 2021年春のオープン号
岡本陸郎美術館はコロナ危機のために、感染を絶対に広げないという強い意思で去年2020年の1年間を完全に休館していました。
今年は日本全国でコロナ変異株の蔓延が、今も懸念される状態です。
決して軽く見ているわけではありません。
今年も本来なら例年のように4月1日の春のオープンを予定していましたが、大事をとってひと月延期して今日4月29日木曜日からオープンをしています。できるだけの感染予防対策をして、また受付の方達にも十分に気をつけてもらい、一人でも体調にちょっとでも異変がある場合には、すぐに休館をするつもりです。
人命が一番大切です。感染は瞬時に起こり、感染すれば既存症のある人ばかりでなく健康な人でも死亡する危険があります。治った場合でも完治せず後遺症に長く苦しむ人も多数あります。
美術館は1000メートルの高原にあり、ありがたいことに空気は清澄、阿蘇の広大な大草原もごく近く、人混みにはほど遠く、ほとんど無人の 環境です。コロナ処女地と言って良い土地です。オープンによって美術館に群衆が押しかけるという心配はまずほとんどこの100年は無用です。100年後には押しかけているかどうかは保証の限りではありませんが。
日本のワクチン接種事情は世界でも非常に遅れていて、高齢者に接種されるのは7月になると聞いています。自国製のワクチンが生産されていないで他国ワクチンに寄りかかっている姿勢に日本の対策の根本的な甘さがあります。もっと早くから自国生産ワクチンの開発をしておくべきでした。そのために海外からの人の渡航も遅れを取らざるを得なくなっています。日本と他国間の国際線航空便の本数も通常の10%に抑えられています。また、渡航者は日本に到着後ワクチン接種がしてありコロナに陰性であってもホテルに自主隔離を2週間義務つけられて、なかなか容易には国際線に乗れない状況です。
最も望まれるのは全ての人のワクチンが完了することです。これ以外にコロナ危機を終息させる手段はありません。この21世紀というのにアメリカでは無知で科学を信じない共和党の40%を越える党員が未だにワクチン接種に反対しています。これらの連中の代表が最近まで大統領を名乗って権力を振るっていたのは実にアメリカ民主主義の最大の恥ずべき4年間でした。この国では、数世紀前の中世と変わらない小学校低学年の頭の指導者を一般大衆の50%が信じて無駄に命を57万人以上も失っています。
私は芸術家として日々10時間を芸術の仕事に没頭してこの50年以上をニューヨークに暮らしてきました。非常にステディな淡々と仕事に没頭してきた日々でした。ニューヨークという人工都市にありながら、できるだけセントラルパークや近くの公園の自然の中で愉快に笑いながら生きてきたおかげでしょう。
この数年、地球規模のコロナの災危により感染への用心を強いられていますが、もう一つ、もっと下らない愚かな騒音ばかりの瑣末な矮小政治屋指導者による白人至上主義者のマイノリティ人種への差別と圧迫は、実際問題として日常生活の危険に気をつけなばならないという、これまで50年間していなかった余計な行為の必要に迫られています。
しかし、人間の歴史を見れば、1000年近く前の鴨長明の著作に明らかなように、どの国のどの時代でも平穏無事に50年もが過ぎた歴史は無いのです。半世紀も地球上に生きれば、誰しもに平等に起こりうる宿命のようです。50年も心静かに、自然を友として仕事に没頭できたことは有難いこととしなければいけないのかもしれません。これからも個人的には日々それらの些事はすっかり忘れて仕事に没頭していくつもりです。
日本全国に、自然が忘れずに柔らかな春をもたらしてくれています。野山に出かけて人混みを遠く避け、自然の中で静かな春の日々を落ち着いて送ってくださいますよう。