2019年11月21日木曜日

ニューヨークのリスと毎朝付き合って半世紀になります。ベンチの隣の右に座っているムクは犬ですが、普通の犬ならリスを追いかけるのに一緒に静かに見ているだけです。リスもムクを全く恐れることなくこちらの膝に飛び乗って来ます。四季を問わず一年中、毎朝彼らに会ってドングリのヘーゼルナッツを渡しています。
これも古来からの数奇と呼ばれる心に発しています。「五月雨ににおの浮巣を見にゆかん」と歌った芭蕉は、さみだれの雨の中をついてわざわざカイツブリの浮巣を見に行こう、という常識を一歩踏み越えて出かけようという芭蕉の気骨をうたっています。数奇者の心意気と気骨は、長明が方丈の小さな住居に住んで60すぎて10才の少年を友として山野を歩き回ったり、近くは昭和の落語名人志ん生が、師匠の大事な羽織を質に入れて遊びに出かけて破門されたバカな一件や、遠くスペインではドンキホーテが老いたる迷馬ロシナンテに乗って勇気凛々世界に出かけた数奇の系譜に連なっています。
数奇というのは世の俗に染まらずという一種の徹底した心意気、気骨を持って仕事し、生活する姿勢を言います。(撮影:岡本)

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